2011年02月06日
「北の都」札幌:satporo サッポロ
<写真>北海道大学構内にて(上下とも)
北海道の人口の3分の1が集中する大都市、札幌
アイヌ語ではsatporo サッポロと言った
その語源は、satporo pet サッポロ ペッ つまり、札幌川(現在の豊平川)
※sat(=乾く)poro(=大きい) pet(=川)
豊平川は上流から運んできた土砂で雨の少ない季節には広大な河原を形成した
2011年01月31日
サクラ:karinpa-ni nonno カリンパニ ノンノ
アイヌはサクラの木の皮をkarinpa カリンパと言う
有用な材料として弓などに巻きつけて使った
kari(=回る)n(=調整音?)pa(=複数形)、つまり、くるくる回る(もの)
そこで、皮を生み出すサクラの木はkarinpa-ni カリンパニ
サクラの花はkarinpa-ni nonno カリンパニ ノンノ
※ni(=木) nonno(=花)
2007年08月07日
ヒグマ:kamuy カムイ
大自然を悠然と跋渉する陸の王者ヒグマ
過酷な大自然の中で250kgの巨体に成長するものもあるという
私たちに恐れと共感を抱かせるこの存在はアイヌ語でkamuy カムイ(=神)
丁寧にkimunkamuy キムンカムイ、nupurikorkamuy ヌプリコロカムイとも呼ぶ
※kim(=山)un(=にいる) nupuri(=山)kor(=を持つ)
大自然の中ではまだお目にかかっていないのが残念
アイヌ語でkamuy カムイを名前(の一部)に冠した動物は少なくない
自然と共生し自然物に偉大な精神を感じたアイヌにとりkamuy カムイとは自然の別名でもあった
2007年08月03日
オオウバユリ:turep トウレプ
※写真は 撮って置きの日々(旭川のまりあさんのブログ) より
風土に適合して群生し、広大なお花畑をつくるオオウバユリ
オオウバユリの鱗茎はアイヌ語でturep トウレプ
そのでんぷん質はsito シト (=だんご)などにされ、最も代表的な食料になってきました
アイヌ語のtu(=二つの)…re(=三つの)…という慣用表現は、たくさんの…を意味します(p=もの)
2007年07月27日
イケマ:ikema イケマ
アイヌ語起源の名前で呼ばれる野草がikema イケマ 白い小さな花が夏の山々を彩ります
※i(=それの)kema(=足)
iとはkamuy(=神、立派な)を指すというのが定説ですが、aynu(=人間)かもしれません
kemaは具体的にはイケマの根を表しています
イケマの根は地上部分のつる草と比べてとても大きいのです!
おとなしく控えめな花の趣きとは対照的に、イケマ(の根)はアイヌの重用した薬草です
頭痛・腹痛・外傷・眼病などの万病に効く薬として利用されました
「毒にも薬にも……」の言葉の通り、イケマ(などガガイモ科の植物)にはアルカロイドが含まれるので多用すると人間も死に至る毒性をもつ両刃の剣
なお、アサギマダラ(2006.12.03.記事)は、このアルカロイドを吸収し鳥などから身を守ります
2007年07月25日
クロユリ:anrakor アンラコロ
ユリは根(鱗茎)が食用となるのでアイヌにも親しい植物となっている
クロユリはその自己主張の強い色合いから恋を成就する花として伝説の中に生きる花でもある
この個性的な野草はアイヌ語でanrakor アンラコロ
※an(=夜、黒い)ra(=葉)kor(=を持つ)という語源解釈が一般的ですが、ちょっと?
raに花の意味があれば明解ですが……
2007年02月15日
雪:upas ウパシ
雪は大空から競走するように舞い降りて冬の風景を印象的に染め上げる
この白い手品師はアイヌ語でupas ウパシ
u(=互いに)pas(=走る)雪の姿をアイヌは一つの言葉に凝縮しました
※upas as アシ 雪が降る
2006年12月07日
花と蝶2:nonno ノンノとheporap ヘポラプ
12/3の記事で、アイヌ語で花をnonno ノンノ、蝶をheporap ヘポラプと書きました
そこで、今回はnonnoがヤグルマソウ、heporapがヒメシジミです
函館の青柳町こそかなしけれ 友の恋歌 矢ぐるまの花 (石川啄木『一握の砂』)
の歌とともに深い紫の色彩が心に染み込んでくるnonnoがヤグルマソウ
なお啄木が愛した、この青紫のヤグルマソウ(ヨーロッパ伝来、別名ヤグルマギク)とは別に
ヤグルマソウという名前の固有種があります
2006年12月03日
花:nonno ノンノと蝶:heporap ヘポラプ
アイヌ語で花のことをnonno ノンノというのはよく知られているようです
酷寒の地においてはnonnoの季節は短く、その出合いの感動は一層大きなものです
heporap ヘポラプ(=蝶)も限られた時間の中で吸蜜に懸命となります
画像のnonnoはヨツバヒヨドリ(ヒヨドリバナの一種)、heporapはアサギマダラ
アサギマダラは長距離の移動や台湾などへの渡りもすることで有名な蝶です
下の画像は自然(野生)のアサギマダラとmosirが遊んだ時の1コマです
2006年12月02日
マユミ:kasupni カスプニ
マユミは秋の深まる中で他の木々に先がけて紅葉し実も鮮烈な赤色に色づく
この可憐な木はアイヌ語でkasupni カスプニ
kasup(=杓子)を作るni(=木)として暮らしにも身近な存在であった
2006年05月27日
襟裳:enrum エンルム
<写真>濃霧と強風の道の果てには「永遠」の感じられる
襟裳岬がありました
襟裳(岬)は北海道の◆の地形の南にせり出す岬(ただし渡島半島南部よりは北に位置する)
この代表的な岬はアイヌ語でもenrum エンルム(=岬)
2006年05月15日
紋別、門別:mopet モペツ
<写真>紋別市の流氷観光船ガリンコ号の船上にて
北海道各地に紋別や門別、あるいはそれに類似した地名を確認することができる
地名によく使用されている「別」は、アイヌの生活の基盤であるpet ペツであることが多い
紋別や門別は、この地域にアイヌ語でmopet モペツが流れていたことに由来する
※mo(=静かな) pet(=川) petはべツとも発音する
2006年05月10日
カタクリ:eskerimrim エシケリムリム
落葉樹の多い北斜面に生育、腐葉土と(他に先駆けて成長することで)日光の恩恵を受ける
発芽から開花・結実を経て消滅まで、我々の目にふれるのは1年の中で2ヶ月程度
赤紫色の可憐な花を咲かせるカタクリはアイヌ語でeskerimrim エシケリムリム
2006年05月06日
「霧の街」釧路:kusuri クスリ
冷涼で湿潤な気候が、釧路を霧の多い街にしている
初めて訪れた時も港は濃霧におおわれ、くっきりと見えていたはしけも霧の中に突進して消えていきました
釧路はアイヌ語でkusuri クスリと呼ばれてきました
釧路川上流に何ヶ所もkusuri(=温泉)が有るからという説があります
一方で、斜里や根室へのkus ru クシルが有ったためともいわれます
※kus(=を通る) ru(=道)
2006年04月27日
「丘のまち」美瑛:piye ピイェ
暮らしの基盤である農地が「丘のまち」のフレーズでとても有名になった美瑛町(上川郡)
ゆるやかにうねる丘と「美瑛」という透明で硬質な地名が人々を魅了する
意外にも、その名前は美瑛川をアイヌ語でpiye ピイエ(=油っこい、油ぎる)と呼ぶことから
美瑛川は噴煙を上げる十勝岳を源流とし、その水に硫黄などを含み青緑の光彩を放つ 続きを読む
2006年04月26日
ハマナス:maw マウ
潮かをる北の浜辺の
砂山のかの浜薔薇よ
今年も咲けるや (石川啄木)
とうたわれたハマナス(ハマナシ) 夏の浜辺を鮮やかに彩る
夏の終わりとともに赤く色づく甘いハマナスの実はアイヌ語でmaw マウ
2006年04月20日
ニリンソウ:pukusakina プクサキナ
山野草として愛されるニリンソウの純白の清楚な花は印象的
意外ながら最も代表的な山菜の一つでもありアイヌ語でpukusakina プクサキナという
※pukusa(=ギョウジャニンニク)kina(=草、山菜)
2006年04月18日
2006年04月01日
アイヌは空を「天上の湖」と考えた
<写真>流れる彩雲……onne-to(オンネトー 足寄町)
を想いおこさせる
仰ぎみる空を、アイヌ語ではkantokotor カントコトロ又はnis(nisor) ニシ(ニソロ)とよぶ
※kan(=上の)to(=湖沼)kotor(=のこちらの面・の表面)nis(=空)or(=の所)
また、雲はniskur ニシクルという
※nis(=空)kur(=影)